いわきD&D同好会のブログ

福島県いわき市で活動しているTRPGサークル“いわきD&D同好会”の紹介ブログです。〈ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)5版〉と〈新クトゥルフ神話TRPG〉をプレイしています

番外編レポ 小①D&Dの大地に立つ!〈前編〉

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・・・今まさに新しい冒険者がここに誕生しようとしていた・・・的な。

今回は番外編、小①になったうちの子と二人でプレイしたD&D模様をご紹介したいと思います。ちなみにうちの子、TRPGは初プレイ。このプレイを通して子供もTRPGの世界を学びましたが、僕自身も色々と教えられた気がしました。読み物としては勿論なんですが、僕自身、学んだこと忘れないようにする意味も含めて、遊んだ風景や感じたことを文章にまとめてみた次第です。

さて、うちの子は以前からサークルの例会を見学しておりまして、D&D(強いて言えばTRPGそのもの)に強い興味を示していました。例えば、例会が終了し、メンバーさん達が帰るのを見送り部屋に戻ると、出されたままの道具類を一人でいじり、PCとモンスターのフィギュアを並べては、ダンジョンタイルのマス目の中を動かして「こうげき!」などと遊んだりしてることもしばしばでした。

今回、「試しにパパがDMをして、プレイヤーは君一人の形でやってみようか?」と誘ってみると、「やりたい! やりたい!」と喜んで返事をしてきたものです。

 

第1章 小①のうちの子はどこまでD&D(TRPG)を理解していたか?

TRPGについてどれほど分かっているのか聞いてみると、伊達に生まれてこのかた7年に渡り例会を見てきたわけではない、(漠然としか意味合いがわかってないところも多々あるようでしたが)TRPGとは何なのかそれなりに把握しているようでした。が、認識のズレがあると後々おかしなことにもなりかねないと、プレイする数日前、改めて“TRPGとはどういうものなのか基本的な部分のみ簡潔に説明”してあげることにしたものです。

TRPGとは、普通マスターが一人、プレイヤーが複数いて進められるゲームであること。

マスターとはお話(シナリオ)を進めたり、他の登場人物や敵を操ったり演じたり、プレイヤー・キャラクターが挑戦しなければならないことを伝えたり、皆がやりたがることを出来るかどうか判断、何かをする時にその難しさを決める役割の人のこと。

プレイヤーとは、普通は一人につき一人、自分の受け持ちのプレイヤー・キャラクターと呼ばれる空想の世界の人物を担当し、その人を演じたり操作して、先に述べたマスターのお話に参加して色々なことに取り組んで楽しむ側の人のこと。

マスターとプレイヤーは勝ち負けを競ったりする敵同士ではなく、ひとつの物語を別々の立場から進めたり楽しんだりする関係にあること。もっと簡単に言えば、マスターはどうしていくのか質問する人、プレイヤーはどうするのか答える人、と言う関係にあること。

TRPGには出来ることと出来ないことをある程度きめる物差しとして、ルールと言うものが存在しており、それを守らなければならないこと。大抵、何かについて出来たのか出来なかったのか判断するのにサイコロが使われ、結果が求められることになり、成功するか失敗するかは偶然と運次第で、それがまたいろんな展開や状況を生んで面白いこと。

非常に真面目に聞いており、「これはどういう意味?」「こういう時はどうなるの?」と何度も質疑応答が繰り返されました。マスターが進めるその“お話(シナリオ)”とはどんなものなのか、という点にうちの子は強く興味を持ったようで、「街やお城に襲い掛かって来る悪いドラゴンを倒したり、海賊が住んでいる島に冒険しに行ったり、ダンジョンと呼ばれる古い城や地下迷宮に行ってモンスターを倒しながら隠されたお宝を手に入れたり、別の異次元世界にワープして旅したりするものだね」と教えると、「おーっ! すごい! すごい!」と感嘆の声を上げてきたものです。

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全ひらがな・カタカナ化したオリジナル・キャラクターシート

第2章 始める前に準備したモノ

「いざやる」という話になると、いくつか前もって配慮、用意しなければならないものがあるのは容易に想像できました。

うちの子もようやく簡単な計算ができるようになってきたこともありますし、ダイスを振って簡単な数を計算するのは大体できるはずです(D&D(TRPG)を紹介するにも、ひとまずこれが出来るようになってから、と言うのが僕的には大前提に思っていました)。ただ、漢字はまだまだ分からないこともありますし、キャラクターシートは完全にすべて“ひらがな”と“カタカナ”表記にした、付け加えプレイ自体であまり使わないデータ等の一部をわざとカットした、なるべく確認のしやすさと見やすさを考慮したオリジナルの簡素なものを用意する必要があると感じたものです。

パソコンのWordでオリジナルのシートを作りつつ、担当するキャラクターも、いきなり作るところから始めると憶えることや手間暇にアップアップになるだろうし、と、昔、別の機会に別の人に遊ばれた後に使われなくなっていたファイターのデータがあるのを流用、わざとすでに作ってある状態にしたもの(プレロールド・キャラクター)を用意、今回提供することにしたものです。

子供には「いきなりマイキャラを作るのは難しいから、これから先も遊ぶようなら、慣れてきたら自分でオリジナルのキャラクターを作ることにしようね」と伝えました。 

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女戦士メルクルのメタルフィギュア。だいぶ前に塗装したものです。

第3章 保存食を求めて~プレイ模様その前半戦

さて、うちの小①の子が夏休みのある日の午後、僕も仕事が休みだったその日、半分アドリブの形でD&D5版を始めました。

DM「ここはファンタジーの世界です。ファンタジーの世界と言うのは、簡単に言うと、外国のおとぎ話や昔話に出てくる、お城や、騎士や、お姫様や、魔女や、巨人や、ドラゴンや、モンスターや、帰らずの森、呪われた屋敷、剣や盾や鎧という武器や防具、魔法の呪文のパワーなどなどが本当に存在している世界です。君は、その世界に生きている、旅の冒険者で、名前はメルクルと言います。クラスはファイター。クラスと言うのは学校の何組とかのクラスの意味ではなくて、どんな仕事と言うか、生き方と言うか、どんな姿形とやり方を持って人生を生きているかの種類みたいなことをこのゲームでは言います。で、その中でもファイターと言うのはね、日本語で言うと“戦士”のことです」

小①PY「TVゲームにも出てくるやつでしょ。剣とかでビシビシって、モンスターやっつける人」

DM「そう、あれ。クラスには他にも、遠くの敵に魔法の矢や炎の球を飛ばしてやっつける魔法使いや、鍵が掛かったドアや宝箱を秘密の道具で開けちゃう盗賊や、モンスターから受けたダメージを治す癒しの呪文を唱えられる神に仕える僧侶などなどがあるのだけど、そんな中でも、仲間を守って皆の前に立ったり、モンスターの目の前まで行き、剣でカキーンカキーンと戦っちゃうのが戦士なんだな」

小①PY「うん」

DM「そんな君ことメルクルは、冒険を求めて広い世界を旅して回っているのだけど、ある森の中で休憩している最中、保存食が残り少ないことに気が付きました」

小①PY「それ何? 少ないとどうなるの?」

DM「え? あ・・・そうか、それ知らないか・・・」 

 

そもそも“その存在を知らない”のだから、“それを指す言葉も知らない”のは当然なわけで、うちの子の質問は正しいと言えます。

そう思う中、僕は別の意味でドキリとさせられてもいました。“TRPGに関する常識なんて一つも知らなかった当時の自分のこと”を急に思い出させられ、自分が如何にTRPG歴の長さから“知ってて当然の知識”を大前提に、当然のことのようにそれを発想、発言の中心点に置いてしまっていたことか、と。

大変でも、ひとつひとつ気が付いた範囲からでもいいので、懇親丁寧に、“プレイしていくなら知ってて当然の常識的知識を伝え憶えて行ってもらう必要があること”を知らされた気になりました。

 

DM「保存食っていうのは、食べ物や、お菓子や、お弁当みたいなもので、持ちが良くてすぐに腐ったりせず、長旅の中でも長い時間をかけて少しずつ食べて行ける特別に作られた食べ物なんだ。メルクルは時々、町とかによって付け足して買っていたのだけど、背中のリュックに入れていたそれが残り少なくなってきてて、もうなくなりそうな寸前って感じなことに今気が付いたわけです」

小①PY「うー、この先お腹が空いちゃうー、どうすればいいんだー???」

DM「そうね、休憩を終えた後、困ったなぁ・・・とメルクルが考えながら歩いていたら、道の先が少しずつひらけてきて小さな村が見えてきました。畑があったり、飼われている牛とかブタなんかも柵の中にいるね。普通の村です。そこら辺に、村に住んでるおじさんやおばさんがいてね、やってきた君を見ているよ。どうする?」

小①PY「え、どうするの?」

 

ロールプレイするのにテレがあるとか、コミュニケーションの取り方がまだまだ分かっていないとか、そういうニュアンスから発言したのではないことが顔色から瞬時に分かりました。

前述した、“TRPGを知らなかった当時の自分のこと”がまたもや思い出されます。“ゲームの中での段取りとしての、ゲーム世界の住人とのコミュニケーションのやりくりの仕方”が分からないのです。何者かが出てきたとマスターが説明してきた際、それに対してどのようにマスターに反応を返し、どのようにゲームとしてやりとりするのが正しいのか分からない、と言った方が早いでしょうか? うちの子も、何をどのように発言すれば展開の流れが生まれるのか、いまいち分からないようなのでした。

 

DM「ほら、メルクルは困っているし、相談するとか・・・いや、いきなり知らない人に相談するのもおかしいね。まずは挨拶をしてみるとか、かな?」

小①PY「あー、そうなの。じゃ、『こんにちは』と言う」

DM「村の農夫姿のおばさんが返事をします。『こんにちは、旅の戦士のお方。何やら考え事でもされているように見えましたが、如何なされましたか?』」

小①PY「やばっ、あの、次にどうすんの?」

DM「おばさんと挨拶して話すきっかけは掴んだし、事情を説明するとかかな。事情っていうのは、今のメルクルの様子とか、どういうことになっているとか、のことだね」

小①PY「ああ、そうか。じゃ、『お弁当や食べ物がなくなって困ってます。食べ物ない?』」

DM「するとおばさんはちょっと考えたような顔をしてから言いました。『それはお困りでしょう。旅のお方、村に食べ物はありますが、どうでしょう、それをタダで差し上げますので、村で困っていることを解決してくれませんか? 戦士であるあなた様にしか頼めないようなことなんです。詳しい話は村長さんのところに案内しますので、村長さんと話し合ってみてください』」

小①PY「村長さん?! おー、なんだろう?! それでどうするの?」

DM「こういう時は、行ってもいいと思うなら、『行きます』と言うんだよ」

小①PY「はい、『行きます!』」

 

少しずつNPCとのやりとりの仕方と、場の流れの作り方が分かってきたようで、自信なさげな声が、ちょっぴり明るくノリが良いトーンに変化してきました。

 

DM「では、次に来たのはおばさんに案内された、この村の村長さんの家です。村長は、杖をついた白ヒゲのおじいさんです。『旅の戦士のお方。実は今この村は大変に困っています。村から少し離れた森の奥にあるダンジョンに、ゴブリンの一団がいつの間にやら棲みつきましてな、そこから時々村にやってきては、畑の作物・・・――あ、作物と言うのはニンジンやキャベツのことね――を盗んだり勝手に食べてしまったり、大切な牛や豚をムリヤリ連れ出して殺して食べてしまうんです。それどころか、村人に襲い掛かってはケガをさせたりする。でも、私達の村には戦えるような力がある者はいません。だから、ゴブリン達をすべて倒して、この村を救ってくれませんか? 助けてくれれば、お礼に食べ物を差し上げますので・・・』」

小①PY「動物食べちゃったりするんだー、うげーッ! ゴブリンって何?」

DM「ゴブリンは、この世界でもっとも良く見かけるモンスターで、人のような姿をしてて、大きさは子供くらいだけど、醜くちょっと鬼みたいな姿をしているやつなんだね。こういう村や、旅の街道――旅人が町から別の町へ歩いていく旅の道のことね――そういうところにこっそりやってきては今の話みたいないろんな悪さをして人々を困らせる。皆の嫌われ者モンスターなんだ」

小①PY「『わかった。やっつけに行きます!』」

DM「話、はやッ! 了解! あ、村長さんはもうちょっとだけ話を続けます。『ゴブリンは悪さをして盗んで集めたものを宝にして持っているという噂です。仮にダンジョンでそれを見つけたとしたら、誰も何も言いません。それはあなたの物にしてもらって構いませんので。お礼の一部にしてください』」

小①PY「ラッキー!」

DM「では君は、ゴブリンの隠されたねぐらの位置を知っていると言う村人に案内されて、森の奥にある、ひと気のない寂しいところにやってきました。木々に隠れるようにして、ちょっとしたゴツゴツした岩場があり、そこに人が入れるくらいの大きさの穴、どうやら地面の中にあるダンジョンに続いているらしい穴がポッカリ開いているのを目にします」

小①PY「よし、入って行きます!」

DM「わかりました。では、君は出入口の様子を確かめながら、そっとダンジョンへと入っていったのです・・・」

 

~〈後編〉にく・づ・つ~

例会レポ 第22回:2019年8月25日(日)

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いきなり大所帯(当社比)でプレイ開始だッ!!

参加者は、Nさん、Tさん、Sさん、小①Aさん、そしてMaster。

DMは、Nさんが担当。

プレイ時間は、9時30分~16時30分でした。

 

PCのパーティ構成は次の通りで、全員3レベル冒険者です。

 ・MasterPCバーバリアン・ガル(ドラゴンボーン)

 ・TさんPCソーサラー・名前未定(ハーフエルフ)

 ・SさんPCレンジャー・ヤヴィマヤ(ライトフット・ハーフリング)

 ・小①AさんPCファイター・メルクル(ヒューマン)

 ・NPCクレリック・オスカー(ヒルドワーフ

 ・NPCローグ・アンバー(ライトフット・ハーフリング)

(不参加の方のPCはNPC扱いになり、誰を連れていくかは皆さんで話し合って決めます。勿論、プレイヤーが参加された時にはPCに戻ってもらいます)。

 

今回は久々に参加するメンバーさん、新メンバーさん、飛び入り小①新メンバーさんがいたこともあり、集合してしばし新キャラの用意(全員ほぼ完成手前まで用意はしてきてくれていました)に時間が費やされました。 

 

PC達がいつものように本拠地にしている港町にいると、新たな依頼主が現れました。ドワーフの男性で、ここから5日ほどのところにある鉱山の町にあるよろずやに物資を届けるので、護衛を頼みたいと言うのです。その町まで続く街道にはモンスターがよく出没しており、危険を伴う旅とのこと。

 

PY一同「いつものパターンだっぺ~」

 

・・・だが、今回はいつもと違っていました。なんでも依頼主自身に急用ができてしまったらしく、その目的地に先に早馬で(知人と)行くので、荷物だけ持ってきて欲しいというのです。

仕事とは言え、おかしく感じたPC達は依頼主の様子を窺います。結局、その何かを知ることは出来なかったのですが、冒険者達は港町でくすぶり続けている訳にもいかないと、依頼を引き受けることにしたのでした。

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アウルベア、メルクルの大ダメージに活躍できず、撃Ω\ζ°)チーン

5日の旅の中で、アウルベアやスタージに遭遇、戦闘になったりします。

そして、中間地点あたりまで来た時、見たことのある馬二頭が弓矢で殺され、道端に倒れているのを発見したのでした。

 

PC一同「これは依頼主とその知人が港町から出て行った時に乗っていった早馬ではないか!」

 

二人がどうやらゴブリンに拉致され、街道そばの森の中へと連れ去られていった痕跡を発見します。森を捜索するSさんPCレンジャー・ヤヴィマヤ(ライトフット・ハーフリング)は途中、追跡の判定に失敗してしまい、追い駆けることを断念することに・・・(Σ(゚д゚lll)ガーン)。但し、大怪我はしているが命は取りとめていたドワーフの知人を発見、PC一行は話し合った末、見つけ出した彼だけでも(荷物と共に)町に送り届けようと、再出発します。

 

送り届けた町は、ここ最近、治安が悪化しており、ならず者どもの一団が闊歩し、悪事を平気で働いていました。荷物を無事に目的のよろずやに届け終わった後、PC達は情報収集する中で、そのならず者たちと、近隣のゴブリン等のモンスターがどこか裏でつながっており、良くない計画を立てているらしいことを知ります。

町長が出している討伐の依頼もあり、PC達は事件を解決する為に動き出したのでした。

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ならず者どもを次々に倒していく冒険者達。

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その秘密のアジトでもある洞窟には奇妙なモンスターも棲息していたのである!!(←ナレーション:川口探険隊風)

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DM「部屋から話し声が聞こえます」 PY「何語ですか?」 DM「うーん、ゴブリン語のような、そうではないような・・・」 PY「え、何語?」 DM「ホブゴブリン語みたいな?」 PY「ほぼゴブリン語?」 DM「いや、ホブ・・・」 PY「ほぼ・・・?」(画像とこのやりとりは関係ありません)

今回は、ならず者どもの秘密のアジトを探索し、悪者を退治して回り、最後にボスを捕まえ町長に引き渡したところまでで終了。

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意外とあっけなく捕まえられてしまうボスさんなのでした。

行方不明の最初の依頼主ドワーフの行方、近隣のゴブリン達の存在とその討伐、そしてならず者のボスのその上に位置する更なる謎の大ボスの存在・・・それらの謎を残したまま話は次回へと続くことになりました。

 

今回印象に残ったのは、ノリノリでロープレして楽しむSさん、その交渉術が炸裂。そして捜索判定や戦闘になると身を乗り出して喜々としてダイスを振り、やたらクリティカルやら大ダメージを叩き出してモンスターを駆逐しまくる小①Aさん。

皆さん、楽しまれていたようで何よりです。(^_^)v

 

今回の経験点は一人560点。報酬はひとり188GPと5SP、そしていくつかの魔法製の武器やスクロールでした!! 今回はメンバーがそれなりに揃い、もう決してへっぽこ冒険者パーティではなくなっていましたよ。