いわきD&D同好会のブログ

福島県いわき市で活動しているTRPGサークル“いわきD&D同好会”の紹介ブログです。〈ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)5版〉と〈新クトゥルフ神話TRPG〉をプレイしています

例会レポ 第35回:2024年2月25日(日)

この謎の生き物はいったい・・・???

 

先月に続き、今月も無事に例会が行われることになりました。暖かくなったり寒くなったりを繰り返すおかしな気候が続いているのですが、先の連休中あたりから花粉が飛び始め、今回の参加者にも花粉アレルギーに悩むひとがいたものです(←Master含む(;´・ω・))。

今回の参加者は、Nさん、小⑤A子さん、K子さん、そしてMasterの計4名。

DMは、わたくしMasterが担当。

プレイ時間は、09時50分~14時40分でした。

 

PYの持ちキャラである、PC達の名前やクラス、そして冒険者パーティ編成(役割分担)は次の通り。前回レベルアップしたことから、全員4レベルキャラになります。

 

◆前衛(近接攻撃班)

 小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)

 K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)

◆補助(回復&補助魔法班、近接攻撃の第2班)

 NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ

 

――メンツが揃ったことから、早速セッションが開始されました。

 

今回はどのような冒険話が繰り広げられるのでしょうか

 

■シーン1.街道開通工事現場にて

DM「(タブレットのアプリから小鳥のさえずりを流しつつ・・・)君たち冒険者パーティは旅を続けています。ある頃のこと。辺ぴな田舎道を歩いていたところ、周囲の風景に異変が起き出しました。森のいくばくかの場所の木々が伐採され、細い田舎道の道幅が大幅に拡張されてきているのです。近くからは木を切る音、モノを運ぶ音も聞こえてきてますね。あきらかに街道化に向け、大々的な工事が執り行われているようです」

PL一同「(目の前に広げられているグリットマップに並べられたミニチュアを確認しながら)これは、そういう状況を表わしているのね」

DM「ハイ。数日前に立ち寄った村の酒場の噂話で――利便性を求め、近隣の町と町の間に立派な街道が作られることになり、現在、両方の町の人々が協力して開拓を進めている――と、君たちは耳にしていました。ここはその現場の一部なんでしょう。結構な数の人間の男女が働いています」

 

「きゃぁーーーー!!」DMは再びタブレットのアプリから悲鳴を選択、音声を流しました――。

 

DM「木々の伐採をし、片づけをしているその工事の一団のすぐそばに差し掛かったところ、急に悲鳴が上がります。なんと工事現場の人々のもとに、森の木々や岩陰から飛び出して来たホブゴブリンの一団が襲い掛かったのです。町から派遣されてきている護衛兵らしき2名が応戦に当たりますが、どう見ても不利。工事現場はパニック状態になりました。偶然現場に差し掛かっていた君たちも、町の人間だろうと思われたのか、ホブゴブリン一味は容赦なく襲い掛かってきます。全員、イニシアチブ判定をしてください!」

 

 

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「これはもう、戦うしかないですね。町の人々を助けましょう」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「ですね!」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「助けたいと思います!」

 

 

手近なホブゴブリンを倒しつつ、離れた場所にいる町民の元へと駆け付ける冒険者一行。PC達が駆け付けるまでに応戦してくれていた護衛兵のおかげもあって(たどり着いて間もなくホブゴブリンに叩きのめされてしまいましたが(←死んではいない))、冒険者は一般人にケガ人を出すことなく、ホブゴブリンの一味を倒すことが出来たのでした。

 

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「皆さん、危ないところでしたね。いまのホブゴブリンは一体・・・?(不思議そうな顔で)」

DM「君たちに礼を述べながら、現場監督をしていると言う中年男性が代表して説明してきてくれました。『我々が街道を作ろうとしているこの近隣の森を棲み処とするホブゴブリンの一味なんです。それらが住めなくなると邪魔立てをしてきているんですよ。町の兵士や、町に住み付いてる雇われ冒険者なんかが駆除する為に動いたのですが、返り討ちにあったり、もしくはモンスターの所在を突き止められないままでして・・・。今のような感じで時おり邪魔立てが入るので、皆して困っているところでなんです」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「なるほど。あいつらはどれぐらいの規模の一味なんですか?」

現場監督(DM)「確認されている、脅威となるホブゴブリンの一団は、それほどの数ではありません。小さな集団です。ただ、それにくみするモンスターもいるのですよ。ひとつはアウルベア、ひとつは老ワイヴァーン。それらモンスターの棲み処は全部で3つあるとされています。ただ・・・点在する棲み処の全貌を町で知る者はひとりもいません。危険だったので、もとから関わらずにいたからです。森の中のこの小道は使う者もあまりおらず被害はそれほど出ていなかった。他の町に行く場合、不便ですが昔からある遠回りの道をみな使っていましたし、森へと狩りに出かける者もほんの一握りでしたしね」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「アウルベアって何?」

DM「頭はフクロウ、体は大きな熊みたいなやつ」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「うげ、なんだそりゃ」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「ろうワイヴァーン、ていうのは?!」

DM「年老いた、ドラゴンみたいなやつかな。ドラゴンと違って、両腕が大きな翼になっているやつです」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「ど、ドラゴン・・・!?」

 

現場監督(DM)「皆さんはかなりの腕前を持つ冒険者とお見受けしました。町の工事の為に、モンスター退治に雇われてくれませんか? わたし、町長たちから直々に『協力してくれそうな冒険者や退治屋家業の誰かに出会ったら、お前の方から頼んでもらって構わない。きちんと謝礼もするからと話を付けてもらっても構わない』と言われています」

冒険者一行「(うなずき合うPL同士)関わってしまった以上、見捨てる訳にもいかない、お手伝いしましょう」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「しかし、退治しようにも場所が分からなくては・・・。誰でも良いので、何か少しでも情報を知っていそうな人物はどこかにいないんでしょうか?」

 

――現場の人々の顔に、どうしたことか少し気まずそうな暗い影が差し込みます。PC達は怪しいなと察し、知っていることを聞き出そうと考えました。うまく交渉できたかどうか、能力値の魅力判定を行い、成功させます。すると・・・。

 

町の人々(DM)「1年ほど前から森にすみ着いた風来坊の魔法使いがいるんだ。名前はロウジェス。どこぞでの冒険中に呪いをかけられ、マンドレイクのような不気味な姿になってしまったんだと。それを解く為の方法を探しているとか研究しているとかなんとか。気味悪がった人々は、この土地にやってきた彼を相手にしなかったんだ。彼は心を閉ざし、ひとり森の奥に引っ込んで暮らしている。なんでも彼を時おり見かけたと言う狩人の噂では、この1年、森のあちこちを探索して回っていたようだ、と言うことだ。もしかしたら彼がモンスターの棲み処の情報を持っているかもしれない。ただ、町の住人では交渉に応じてくれないだろう。あんたらみたいな町の者ではない旅人なら違うかもしれないぜ」

 

冒険者一行は、早速その不可思議な姿をしているロウジェスと言う魔法使いに会いに行くことにします――。

 

 

■シーン2.マンドレイク・ロウジェスの掘っ立て小屋

DM「人々の説明によると、彼らを救出した場所から小一時間ほど行った深い森の奥に話題の魔法使いの家はありました。道から外れ、完全にけもの道をたどって行った先です。聞いた通りに進んで行くと、深い森の奥に1件の小さな掘っ立て小屋がありました。簡素な作りで、その怪しげな雰囲気からして、明らかに魔法使いが好む家のように見えますね」

 

小屋並びに周囲に気を付けながら、歩みを進める冒険者一行。

 

DM「君たちが小屋の前まで来ると、どうやら窓から様子を窺っていたのか、中にいた人物が玄関ドアを開けていきなり現れます」

PL一同「ギョギョ! 向こうから出てきた! 一応、警戒しますね」

 

魔法使い? マンドレイク? ロウジェス?

DM「中から現れたのは、真っ赤なローブを身にまとった人物でした。大きさは子供ほどなのですが、顔は茶色でシワクチャ。よくよく見れば、マンドレイクそっくりです。君たちが口を開く前に、彼が話し出してきました。『こんな人里離れた小屋にわざわざやってきたと言うことは、私に用事があって訪ねてきたのだろう?! 察しが付く。1年前から隅々まで探索しているので、森のことはなんでも承知しているぞ。街道工事が行われていることも、ホブゴブリンに邪魔されて町の住人が困っていることも、モンスターの棲み処が分からずに困っていることも、な。そしてあんた達が何用でやってきたのかも、大体想像がつく・・・』」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「あなたが魔法使いロウジェスさんですか?」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「そうだ。町の住人めらは、マンドレイク・ロウジェスと呼んでいるようだがな。まぁ、こんな顔では色々と言われても仕方なかろう・・・。君たちは、おそらく町の住人に頼まれ、ホブゴブリンの一団を倒す為、やつらの棲み処についての情報がここにないか聞きに来た、雇われた旅の冒険者と言ったところなんだろう?」

冒険者一同「え?! ・・・ええ、はい。お察しの通り。話が早い・・・」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「知りたがっていることを教えてやっても良い。だが、条件がある」

冒険者一同「条件・・・?」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「まぁ、立ち話もなんだ。汚い家だが、中に入ってくれ。お茶でも入れよう」

 

――冒険者一行は言われるままに中に入りました。決してキレイという訳ではないですが、机代わりの大きな石の上には何冊もの書物、壁には森で暮らす為の道具類、そして薬草の数々がひもで縛られ、フックにかけられています。別の石机には、薬草を調合する為の器具や粉が置かれていたり、まさしく誰もがイメージするような森の魔法使いの家そのものでした。

 

冒険者一同「ロウジェスさん、条件とは何です?」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「この1年間、この土地の隅々まで調査したので、モンスターの生息地や棲み処はほぼ把握している。君たちが討伐しようとしているやつらの棲み処も、だ。そこを教える代わりの条件とはこうだ。私は自身にかけられた呪いを解く為の魔法の薬を開発中で、その為には調合する素材が必要。この近辺ではそのうちの3つが入手できることが判明している。経緯は謎だが魔法的力を得たキャロット(にんじん)、ラディッシュ(だいこん)、トマト、だ。偶然にもそやつらの生息地と、君たちが退治しに行こうとしているモンスターの棲み処が同じようなのだ。モンスター退治をしたついでに素材を“つかまえて来てくれ”。モンスターの強大な力に、この姿の私では太刀打ちできずに困っていたのだよ」

 

キャロット(にんじん)、ラディッシュ(だいこん)、トマトの3つの名前を聞き、唖然としたり、笑いだす一同。

 

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「にんじん、だいこん、トマト?! なんの調理の食材ですかー?!(大爆笑)」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「生えてるの見つけて持ってくればいいんですね?(ニヤニヤ)」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「うむ、“つかまえて来て”欲しいのだ」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「ん・・・(急に真顔になり)“つかまえて来る”・・・??? と言うことは、もしかして動くんですか、それは???」

女性陣二人「え? ・・・ええ?!」

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「どういう理由からそのような食材・・・もとい素材がこの世に生まれたかは知らん(←DMも)。違う意味で生きているのだよ。違う意味で、活きがイイ野菜なのだ・・・。そしてやつらはすばしっこい。手練れの冒険者でなければ捕まえられないかもしれんのだよ」

 

PL一同「超すばしっこい野菜!?(←超大爆笑!)」

 

――冒険者たちは、ロウジェスの条件をのむことにします。どのみち棲み処に赴きモンスター退治はしなくてはならいのですから。それに危険のない野菜(?)をつかまえるぐらいなら、どうということはないでしょう(おそらく・・・)。

 

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「私も本来は冒険者。同じ職業のよしみだ、冒険の拠点にこの小屋を使ってくれて構わない。食事や手当などは私も協力しよう。いずれの場所も、この小屋から2時間ほどの場所だが、行き来や休憩を考えると、どう考えても1日1か所に絞った方が得策と思える。1か所巡ったら、またここに戻り、翌日2つ目を探索する、と言うことを繰り返せばよいだろう」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「食材つかまえて戻れば、それ使った夜ご飯がでてくるのかなぁ~(・∀・)ニヤニヤ)

魔法使いマンドレイク・ロウジェス(DM)「魔法や武器で、切ったり焼いたり煮たりしたら元も子もない。パリッと新鮮、ちゃんと生きたままつかまえてきてくれよ~」

 

冒険者一行は協力に感謝し、教えてもらった3か所のいずれかから巡るかを相談し合います。結果、

 ・ホブゴブリン一家の棲み処――森の廃村。

 ・アウルベアが飼われている棲み処――丘の洞窟。

 ・ホブゴブリンに協力している老ワイヴァーンがいる棲み処――砦跡。

の順番で探索することを決めたのでした。

 

 

■シーン3.廃村(ホブゴブリン一味の棲み処)の探索

DM「魔法使いマンドレイク・ロウジェスの言う通り、2時間程けもの道を進んだその先――森が少し開けたところに、古い古い廃村がありました。かなり前に村人が去り、それなりの年月が過ぎたようで、点在する小屋はいずれも半ば朽ちてボロボロになっています。情報によれば、村の中央部に大きめの家々が固まって出来た一角(おそらく裕福層が住んでいたと思われる区域)があり、そこにホブゴブリンの一味が勝手に入り込み暮らしているとか。君たちが用心深く探索を続けていると、言われた通り、開きっぱなしになっている門付きの、大きめの家が密集している場所にたどり着きます」

 

 

DMはPCフィギュアを門の前に配置しました。

 

PL一同「おお、家がすべてミニチュアで、立体的なマップになってる~(感心)。出入口はここだけですかね?」

DM「周囲は高めの壁で囲まれています。すんなり出入りできそうなのはここだけですね」

PL一同「この地区の様子はどうですか? 怪しい?」」

DM「では、技能の〈知覚〉判定を行ってください」

 

成功する面々。森の小鳥のさえずりは聞こえなく、静まり返った家々や中央広場は、なんとも明らかにおかしな雰囲気を漂わせていることが分かりました。何かが潜んでいることは間違いなさそうです。

 

DM「どうしますか?」

PL一同「入って行くしかないよね。四方に用心しつつ、少しずつ進んで行きましょう。取り合えず、門をくぐって、ほんの少しだけ歩みを進めましょう・・・」

 

DMの指示もあり、各自マイフィギュアを自分が思う位置まで移動させます。

DMは「特にまだ何も起きませんね」と告げてきました。

PLは話し合い、もう少しだけキャラに歩みを進ませてみます。

 

廃村はホブゴブリン村と化していたのだ!

DM「では、そこまで進めた時、ほとんどの家の一つ一つから、1体ずつホブゴブリンが飛び出してきました。君たちは上の方にも気配を感じます。いま入ってきた門の上を見ると、隠れて見張りをしていたらしいホブゴブリンが目に映りました。どうやらその見張りが何らかの合図を仲間に送っていたんでしょうね。君たちが来たことはとうにバレていたようでした」

PL一同「やっぱりね~。やるしかないので、構えていた武器で戦います!」

 

 

お互いに警戒していたことから不意討ちは発生せず、通常通りにイニシアチブを判定、順次戦闘を開始していきます。

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)は手堅く、近場の敵を1体ずつ確実に仕留めていきます。

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)は、2階建てのベランダから弓矢攻撃を仕掛けて来るホブゴブリンを退治しに。

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)は仲間の回復や戦闘補助に努めます。

しばらくして徐々に敵の数が少なくなってきたところに、残っていたホブゴブリンの第二派が、空き家と思っていた残りの家々、そして幌馬車の中からも飛び出してきて、PL一同はビックリ!! 広場で迎え撃つも、一番奥の安全圏にいたホブゴブリン弓兵の執拗な攻撃にさらされ、ダメージが蓄積して行きます。

しかし、冒険者たちは協力し合い、どうにかこうにかホブゴブリン一味をすべて倒すことに成功したのでした。

 

冒険者一行は削られたヒットポイントを銘々回復させた後、家々を調べて回りました。ホブゴブリンの一味が隠し持っていた宝物を発見はしたものの、依頼されていた素材が見つかりません。

 

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「どこかに隠れているのかな? DM、なにか感じたり、気がつきませんか?」

DM「そうですね、では皆さん、技能の〈知覚〉か〈魔法学〉の好きな方で判定してみて下さい」

PL一同「二人成功ですね」

DM「では、先ほどのホブゴブリン一味の気配ではなく、まったく別の何かの気配が感じられました。明らかに、近辺に何かが隠れ潜んでいるような気配です。魔法的な何かが」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「こうして立っていては目立つし、どこかに隠れて様子を見るのはどうですかね? 家のどれかとか、幌馬車とか」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「なるほど・・・」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「それは良いアイディア! 隠れて様子を見よう!!」

 

冒険者たちが幌馬車の中に身を潜め、約30分。ひっそりと静まり返っていた広場のどこかから、物音がしてきました。音の出どころは、それほど離れていない、馬小屋。じっと様子を窺っていると、いつから積まれているのか分からない古びた藁の中から、ヒョッコリ何かがはい出てきました。DMはマスタースクリーンの影に隠していた、自作の人型キャロットのミニチュアを取り出し、馬小屋の出入り口に配置します。

 

魔法の素材“キャロット(にんじん)”登場♪

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「これは~?!(*^-^*)」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「キター (・∀・) カワイイ~!!」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「キャッ~、ピクミンみたい~(⋈◍>◡<◍)。✧♡」

DM「(;^_^A 小さな子供ほどの大きさで、手足の短い、ディフォルメされたような姿かたちのニンジン人間(?)は、周囲を見て誰もいなくなったと安心しているようです。腰にあるクシの様なもので、頭の葉っぱをとかし始めました」

PL一同「ブフ~ッ!!!(大爆笑)。こっそり近づいて、捕まえることはできますかね?」

DM「キャロットは油断してますが、ちょっとでも気がつかれたら、すばしっこそうで・・・」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「相手がいる手前までサイレンスの呪文をかけます」

DM「なるほど! それなら、こっそり無事に近づくのが出来ることにしましょう。ただ、手を伸ばせばさすがに気が付かれるため捕まえるには次の様なルールに従ってもらいます」

PL一同「どんなルールですか?」

DM「成否判定をしてもらいます。能力値の敏捷力、もしくは技能の〈軽業〉、好きな方で、難易度15に挑戦して下さい。3回できます。一人オンリーでも、交代制でも構いません。誰かが1回でも成功したら、すばしっこく逃げ出そうとしているキャロットをみごと捕らえることができます」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「難易度15?! 高ッ?! 難しそう・・・(;´・ω・)」

 


 
話し合った末、K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)が最初に挑戦することになりました。

 

DM「では、君たちが捕まえようとすると、魔法生物(?)のキャロットは即座に気がつき小さな足をばたつかせ脱兎のごとく逃げ出そうとします」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「えい! 20面ダイスをコロコロ~・・・・あ?! 19!!」

PL一同「おぅおおお~!!」「イエ~イッ!!」「やった~ぁ!!」

DM「え、ええええ・・・?! 一発で、せ・・・成功?!」

 

4レベル冒険者にとって難易度15は難しいはずの値。まさか1回で成功してしまうとは。唖然としながらDMはダイス目の不確定さを改めて実感したのでした(←「うわぁ~、失敗した~、残りあと2回・・・・ああ、あと1回、なんとか成功させなくては~」みたいな手に汗握る面白い流れを作れると目論み、確信していたのです。それが違う意味で盛り上がってしまうとは・・・Ω\ζ°)チーン)。

 

DM「君たちは短い手足をばたつかせる食材・・・間違えた、魔法素材のキャロットを逃げ出さないようにと袋に入れ閉じ込めると、魔法使いマンドレイク・ロウジェスの小屋へと引き返したのでした」

PL一同「(クスクス笑い)」

 

ここでちょうど12時に。いったんお昼休憩を取ることになります――。

 

 

■シーン4.洞窟(アウルベアの棲み処)の探索

昼食を取り、しばし休憩してからシナリオを再開。午後の部が始まります――。

 

DM「早速1匹目を捕獲してきた君たちに、ロウジェスは大喜びします。そして傷付いた君たちの回復を手伝い、食事を提供してきてくれました」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「ニンジン料理かな?」

DM「違います(;´・ω・) ・・・さて、翌日、君たちは二つ目の棲み処に向かうことになります。魔法使いマンドレイク・ロウジェスの言う通り、森の所々にある小さな丘のそのひとつに、洞窟の大きな入り口がぽっかりと開いていました。情報によれば、この奥に人々に災い為すホブゴブリンと彼らが飼うアウルベアがいるとのこと」

 

 

冒険者たちは廃村の時同様、注意深く入り口をくぐり、少しずつ歩みを進めました。モンスターの姿は今のところ見られません。

DMはここで技能の〈知覚〉判定を要求します。しかし、全員して失敗。ここで成功していれば、餌を取りに出掛けていたアウルベアが、入り口から戻ってこようとしているのを冒険者たちが気付くことにしていたのですが・・・。

何も気がつけなかった冒険者一行は、対策も立てられないまま、少し後、奥から出てきたホブゴブリン弓兵(飼育係)2体と、出入り口から入ってきたアウルベアに挟み撃ちされてしまった形で戦闘を開始することになりました。

 

 

アウルベアは、小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)とNさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)が相手をし、奥から出てきたホブゴブリン2体はK子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)がやはり弓矢で応戦して戦う流れになります。

アウルベアに苦戦する二人を応援すべく、ホブゴブリンを倒したK子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)が駆け付けます。取り合えず、弓矢で攻撃。次も弓矢で攻撃。

 

 

DM「あれ? 接近戦で、ソード攻撃しないんですか? ソードの方がダメージでかいよね?」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「廃村であまりにも相手から(近接攻撃で)ダメージ受け過ぎたので、怖くて今回は近寄らないで攻撃しようかと・・・(←PL発言)」

DM「ああ・・・なるほど・・・」

 

洞窟内の戦いは、接近戦を試みていた二人がそれなりにHPを削られるなど少し危なっかしい感じであったものの、無事に終了しました。が、このK子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)が(この後も)取って行こうとした攻撃パターンが、大ピンチを引き起こすことになるとは・・・(後述)。

 

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「DM、宝物や魔法素材生物がいないか、洞窟内を捜索します」

 

〈知覚〉判定に、みな高い目やクリティカル(←例の如く小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)が)を出したこともあったので、DMはすんなり宝物と素材生物が見つかったことにしました。

 

魔法の素材“ラディッシュ(だいこん)”登場♪

DM「ホブゴブリンたちの荷物がたくさん置かれている一角がありまして、そこに宝物がありました。そして、その荷物のひとつから、いきなりピョコッと、子供ほどの大きさの人の姿をしたラディッシュ(大根)が飛び出してきて、短い手足をばたつかせ脱兎のごとく逃げ出そうとしたのです!」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「(DMが出した大根人間のミニチュアを見て)カワ(・∀・)イイ!!」

DM「捕まえ方ルールは廃村の時と同じです。難易度15ですよ」

 

PLは相談し、今回もまずはK子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)が挑戦することになりました。

 

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「またまた、えい! 20面ダイスをコロコロ~・・・・んん?! また19です!!」

PL一同「おぅおおお~!!」「イエ~イッ!!」「やった~ぁ!!」

DM「・・・・・・」

 

呆然とするDMをよそに、PLの皆さんあまりの素晴らしい流れに大喝采

頼まれていた2つ目の素材も入手。冒険者一行は、魔法使いの待つ掘っ立て小屋へと再び引き返したのでした。

 

 

■シーン5.砦跡(老ワイバーンの棲み処)の探索

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「今晩は大根料理だね!」

DM「違います(;´・ω・) ・・・小屋で回復した翌日、君たちはみたび冒険に出かけます。魔法使いマンドレイク・ロウジェスの言う通り、森の一番奥の高い高い崖の上のきわに、古い砦跡が見つかりました。大昔の戦争で使われた場所なのか、その由来はもう誰も知らないとのこと。天井はほとんど崩れ空が見え、壁も少しずつ崩壊しています。ここに、ホブゴブリンにくみする老ワイヴァーンが住み着いているらしい・・・」

 

 

バトルグリットマップを確認した後、冒険者たちは今まで同様、注意深く入り口をくぐり、少しずつ歩みを進めようとします。

DMは今までと異なり、ホブゴブリン・リーダーが、奥にある部屋からすんなりと、ヌ~ッと出てきたと告げました。

 

DM「ホブゴブリン・リーダーが大声で話してきます。『お前ら、良くも我が一家を全滅させてくれたな?! ここに来るだろうことは予想していたぞ! 返り討ちにしてくれるわっ!』。すると、崖の下から巨大な何かが大きな翼で羽ばたき、砦の上にぬーんと姿を現すと内部に降り立ちました」

 

ボス戦だーッ!!

DMは、ホブゴブリン・リーダーと、青い色をしたワイヴァーンのフィギュアを配置します。

 

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「ボスの登場ですね。ワイヴァーンは脅威度6・・・強敵だ・・・(←DMもできる人のコッソリ発言)」

DM「ちなみにワイヴァーンはかなり年老いてます。若い頃のようには戦えなさそうに見えます」

 

イニシアチブ判定をし、戦闘が開始されます。

ホブゴブリン・リーダーについては特に大した活躍も出来ず、あっという間にうちに倒されました。(ホブゴブリン・リーダーの断末魔『無念だ~・・・』Ω\ζ°)チーン)

問題は老ワイヴァーンの方です。プレイ中は秘密にしていましたが、老ワイヴァーンということでHPは半分、攻撃についても毒針の毒の効果はなしという改良データで登場させていたのですが、これがなかなか倒せない。攻撃ロールに失敗したり、大きなダメージが叩き出せなかったこともあるのですが、もうひとつPC側に不利な流れがあり・・・。

先に述べたように、K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)のプレイヤーさんが援護射撃をすると言う戦法にこだわったこともあり、敵のHPを削る率が低下したのです。

 

 

そのうち、大ダメージを受け続けたNさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)が倒れ、ほどなくして小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)も意識不明の重体に・・・!!

 

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「ヤヴァイ、あたしのキャラも倒れた!! ニコル~ぅ!!」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「あああ、まずいまずい、二人とも倒れちゃった!!」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「我々はもうどうすることもできない・・・なんとかしてくれ・・・(^^;」

 

焦るPL一同。

DMはと言えば、(だいぶHP削ってきたから、もう少しで倒せるのだけど、このままで大丈夫かな?)と内心、やはり心配になってきていました。まさかの初全滅か?!

 

辛うじて続く戦闘。

 

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「えい! あああ・・・普通に当たり。ダメージは5ポイント・・・!!」

DM「(黙ったまま真顔でPL全員を見回す)」

PL一同「え・・・なに? どうなった・・・?」

DM「・・・老ワイヴァーンは、苦しそうな絶叫を上げると、フラフラと空に飛び上がろうとし、崩れかけていた砦の壁上部に引っ掛かり、体勢を崩したまま、裏の高い崖の下に真っ逆さまに墜落していったのでした・・・」

PL一同「なんだ、やっつけたのか~! ふぅ~!」

 

DMの心優しいドッキリ作戦配慮で、素材捕獲のスリルさの代わりを味わったPL一同・・・もとい冒険者たちは急いでHPを回復、体勢を立て直すと砦跡を捜索したのでした。

奥の一角に、宝箱並びに何故かあった、自然に出来たらしい(?)小さなトマト畑を見つけます。そのトマトのひとつが突如動き出しました!

 

魔法の素材“トマト”登場♪

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「最後はトマトのフィギュアか~(・∀・)ニヤニヤ 今晩はトマトの何料理かなぁ~(・∀・)ニヤニヤ」

DM「恒例となりました捕まえ方ルールは今までと同じです。難易度15ですよ」

 

PLは相談し、今回もK子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)に頼むことにします。

 

DM「まさか、3回目は・・・だよねぇ?」

PL一同「(^^ゞ (^^ゞ (^^ゞ」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「またまたまた、ええい! 20面ダイスをコロコロ~・・・・あー、16ですッ!!」

 

これにはDMもPLにまざり、大爆笑となりました。まさに、二度あることは三度ある、ですね。

ボスを倒し、3つ目の素材も入手した冒険者たちは、魔法使いの待つ掘っ立て小屋へと意気揚々と戻って行ったのでした。

 

 

■シーン6.再び、街道開通工事現場にて

「もうちょっとだけ話は続きます」と、DMは今回のシナリオ冒頭と同じバトルグリットマップを展開ました。人々のフィギュアも並べ直します。

 

工事現場の民に大歓迎される冒険者たち

DM「魔法使いマンドレイク・ロウジェスの協力で、君たちは目的を達しました。脅威となっている全モンスターを駆逐したのです。協力の条件でもあった三種類の素材も無事に捕獲、彼に提供できました。ロウジェスとは奇妙な友情が芽生えます。彼にはたいへん丁寧に礼を述べられました。小屋でひと晩休憩し全回復した君たちは翌日、ロウジェスに見送られながら、最初に町の人々と出会った街道工事現場まで帰ってきました」

 

DMはPCフィギュアを配置します。

 

冒険者一行「皆さん、依頼どおりに、脅威となるモンスターどもは退治してきましたよ!(←PL達はニコニコしてます)」

DM「仕事をしていた人々が君たちの元に集まってきます。今までの出来事を逐一説明すると、全員から拍手喝采と、感謝の言葉が告げられました」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「途中でキレイなお花畑が見えて来る危ないとこもありましたが、まぁなんとか~(^^;」

DM「周囲に笑いが起こります。・・・その時のことです。君たちは妙な気配を感じました。空から邪悪な気配をまき散らし、何か近づいてくる――?! 空を見上げると、君たちが倒したはずの老ワイヴァーンが凄い勢いでこちらに向かって羽ばたいてきているではないですか。あちこちから血を流し、深手を負ったはずの彼は、実はまだ生きていたのです。復讐するために、君たちを追いかけてきたのだ――ッ!!」

NさんPCクレリック・ダタク(ヒルドワーフ)「ええっ?!」

小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン)「死んでなかったの?!」

K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト)「ここで話が終わるのかと、いま思ってた!」

 

PL一同、完全に意表を突かれたようで本当に驚いていました。DMは先ほどと同じ老ワイヴァーンのフィギュアをマップ中央、冒険者が陣取るそばに配置します。

 

復讐の老ワイヴァーンが舞い降りた!!

本シナリオ、本当に最後の戦いが始まりました。

先に説明したようにプレイ中は秘密にしていましたが、老ワイヴァーンということでHPは半分、攻撃についても毒針の毒の効果はなしという改良データで登場させていたのですが、これにはもうひとつ意味があって、同じような弱体化したデータでもう一度再登場させ、同じ分だけHPを削れば倒せる――要するにそれで普通の状態の1体を倒したと同じことにしよう、と言う解釈にし、最終的に1体分の経験点を渡す形にするという考えがDMにはあったのです。恐ろしい敵がボスと言うのは盛り上がりますが、あまりにも強くては冒険者が全滅するかもしれない。それならば、ちょっと工夫すれば・・・と。

 

 

さて、今回のこの最後の戦いについてはあまり特筆すべきことはありません。敵味方、お互いにそれなりにダメージを受けましたが、前回と異なり冒険者たちはうまく協力し合い、程なくして(本当に短時間で)無事に老ワイヴァーンを打ち倒すことに成功したからです。

 

 

■エピローグ

冒険者一行は、冒険で入手した宝物、町から受けた謝礼を話し合って分配。魔法の+1の武器や防具も入手でき、新たな力を得ました。こうして彼らは次の冒険を求め、また旅立ったのです――。

 

 今回入手した経験点:一人1600点

 財宝類:報酬一人200gp

  ロングソード+1(K子さんPCファイター・ニコル(ハーフリング・スタウト))

  チェインメイル+1(小⑤A子さんPCファイター・スイミー(ヒューマン))

 

………to be continued !!

 

 

■お・ま・け♪

100円ショップで偶然見つけたお弁当のピックス。ビビビとクルものがあり、即購入。塗装して土台に接着、D&Dで使えるミニチュアに仕立ててみました。

お店で見かけた時、このミニチュアを活躍させる今回のシナリオを思いついたのです。