いわきD&D同好会のブログ

福島県いわき市で活動しているTRPGサークル“いわきD&D同好会”の紹介ブログです。〈ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)5版〉と〈新クトゥルフ神話TRPG〉をプレイしています

番外編レポ3 女子D&D5版お試し体験会2020.8.30〈後編〉

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全員、初心者女性プレイヤーによるD&D5版セッション、後半の模様です。

――今回のレポも、長文になってしまった為、前後編にわけてあります。これはその〈後編〉になります――

 

■シーン3:骸骨神殿の探索

DMはうしろに置いていた、組み立て済みの立体ダンジョン・ミニチュアを、テーブルの中央に置いて披露しました。

 

一同「で、で、出~た~ッ!! これは、すごおぉぉぉ~~~いッ!!」

 

見るや否や、今まで以上に大興奮の声を上げる皆さん。全員立ち上がってダンジョンの様子を隅々まで確認、各々に感想や意見を述べ始めます。

「ここの穴みたいのが怪しい!」

「棺桶が並んでて気味悪い」

「そっから何か出てくるんだって」

「あの像みたいなの動くんじゃないかな?」

「ここの床、ちゃんとヒビが入ってて雰囲気でてる~」

「これ、発泡スチロール切って、色塗って作ったんだって」

「すごーい、ホントおもしろーい!!」

 

まさかここまで大好評とは、と、作ったMasterも照れくさくなりました。

 

DM「はい、ありがとうございます。では、続きを始めましょう!」

 

興奮冷めやらないプレイヤーの皆さんが、自分のフィギュアをダンジョン内の気になる場所に配置してしまったり、通路をトコトコトコと歩き回らせてしまったりするのを制止しながら、DMは話を進めます。

 

DM「まだこのダンジョン内には入っていませんよ。先ほどの山道から建物のすぐ前にやってきたところです。見ればその石造りの神殿は本当に小屋レベルの大きさで、ほぼ風化しておりボロボロ。残念ながら古代遺跡の威厳みたいなものは微塵も感じられません。出入口は扉などなくポッカリ開いているタイプで、すぐに中に入れるようです」

中①A子さんクレリック「中は真っ暗ですか?」

DM「いや、ちゃんと見渡せます。出入口は空洞だし、このミニチュアには表現されていないけど、壁にはいくつかの小さな窓状の穴が開いていて、外からの光が入っているんですよ。一番奥まったところは実際に入らないと良く見えないけどね。ちなみに今見える範囲では、神殿の中は、他のどこかに通じるような通路やドアがない狭い空間で、奥の方に魔神を模した石像があるようです。ひと気は一切ないようですね」

中①A子さんクレリック「なるほど」

DM「ちょっと説明不足だと思うので、TRPGのおやくそく事項についてひとつ説明させてください。プレイヤーである君たちは、勿論いま目の前にダンジョンの全風景ミニチュアが見えているけど、皆さんが操っているキャラクター達には、この出入り口のところしか見えていないし、奥の方にこういうダンジョンがあることにも、今は気が付いてないです」

一同「え?! そうなの?!」

DM「はい。ゲームを進行する上では、行動や判断基準はあくまでキャラクター視点で行うことになります。現時点の展開と言うかストーリーの流れで言えば、ひと気もない、しかも価値のなさそうな小屋みたいな小さな神殿を、なんで先ほどのスケルトン達は見張り守っていたのだろうか? と怪しく思いつつ、出入り口で様子をうかがっているところなんです、皆さんのキャラクター達は。あ、ついでに言うと、この小屋みたいな神殿の後ろは上に向かってそそり立つ高い崖になっていて、その崖のラインに沿って神殿の奥の壁があるような位置関係になります。もっとついでに言うと、この神殿や全ダンジョンについては、壁がもっと高くて、ちゃんと天井があります。ミニチュアでそこまで再現してしまうと中が見えなくなるので、それは省いて作られているんですね」

一同「ふーむ、そうなんだ。わかりました」

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骸骨神殿――冒険者達には今この光景しか見えていないのです。

小②I子さんファイターが、神殿の中にある魔神像を指でつつきます。

 

小②I子さんファイター「なんかさ、怖~い顔の像みたいのがね、あるんだけど?」

小⑤R子さんローグ「動くんじゃない?」

K子さんファイター「なんか私らより大きいし、動いたらまずいでしょ」

中①A子さんクレリック「こういう場合、HPが一番高い人が様子を見に行くのがいいんじゃないの? 低い人が行っていきなり攻撃受けて、大きなダメージ来たらまずいし」

小②Aさんファイター・メルクル「HPが一番高いあたしが行くよ。中に入って行って、試しに魔神像にペタペタ触ってみます」

DM「了解です。ペタペタ触ると・・・・」

一同「触ると・・・?!」

DM「・・・特に動きません。普通の石像みたいです」

一同「なーんだ。良かったぁ」

 

プレイヤー全員、ホッと胸を撫で下ろします。

 

DM「さて、どうしますか? 骸骨神殿の中で目につくものはこの風化しつつあるボロっちい魔神像だけ、他は殺風景です。壁には骸骨戦士だの魔神だのと言った不気味なモチーフの浮彫が施されており、かなり不気味ですよ」

中①A子さんクレリック「それはやっぱり、皆で中に入って行き、一番奥、魔神像の背中の後ろの壁を調べます。どう考えても怪しいよね~」

一同「うんうん」

DM「では皆さん、各自、難易度10の技能〈知覚〉判定を行ってください。協力し合って、部屋の壁を調査するみたいな意味の判定になります」

 

皆さん、自分や他の人のキャラクターシートの数値を確認しながら、20面体ダイスを転がし始めました。結果、半数以上の人が成功します。

 

DM「おお、良かった! よく見ると、奥の壁際の床が、何度も横にスライドして傷ついたような跡があることに気が付きます。なんていうか、和室の襖みたいに動きそうな感じと言うか。しかも、最近も動いた形跡があるようですね」

中①A子さんクレリック「やっぱり!」

DM「更に念入りに調べると、巧妙に隠された2つのスイッチ状の小さい岩があることに気が付きます。小さな岩を積み重ねて作られている壁なんですが、そのうちの2つが押せるようになっているのを発見したんですね。おかしな点がないか、今回のようにちゃんと意識して調べない限りは発見できそうにない仕掛けです。さて、どうしますか?」

中①A子さんクレリック「2つか・・・。なら、よし、2つ同時に押してみます!!」

DM「おおっと、正解です。それが正しい手順だったようで、その壁だと思っていた隠し扉は横に向かって、ガ・ガ・ガ・ガ・ガーッ! と音を立てながらスライドしてなくなりました」

 

一同「やった~!!」(←拍手♪)。

 

DM「その奥には隠された通路があり、秘密のダンジョンが広がっていたのでした。骸骨神殿とは、本当はこの“隠されていた奥を含めて”の神殿なのだなと君たちは悟ります。今いるところはいわゆる玄関みたいなもの。案内人エハンスと、怪しげな緑のローブの男バルトは、この奥にいるのだと、君たちは直感したのでした」

 

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意見の対立! 公平に物事を決める最後の手段は“THEジャンケン”しかないッ!

■シーン4:隠されたダンジョン内の探索

奥にある秘密のダンジョンに進めることになった途端、再びテンションが上がりまくる皆さん。行きたい場所や調べたい場所を各々指差し、「先にこっち!」「いやあっちが先!」と主張し始めます。挙句、「バラバラに行動しよう?!」という意見が・・・。

 

DM「TRPGのおやくそく事項について、またひとつ説明させてください。このTRPGって、確かに状況やその時の流れによっては別行動を取る場合もありますが、基本的にはみんな一緒、特に危険そうな場所ではグループで行動するのが常です。それぞれが別々の能力・特徴を持ち役割分担があり、自分がないものを仲間達でお互いに補完し合い、協力し合って物事にあたるようになってるんですよ」

 

DMの言うこと、なんとなくわかってもらえたようですが、皆さん、不服そう。

最終的に誰からともなく出た「じゃ、行きたいところ、やりたいことの順をジャンケンで決めよう!」という案に意見がまとまったのでした。

 

よくあるダンジョン攻略の手段まではさすがに発想できない様子だったので、DM、様子を見ながら皆さんに少しだけダンジョン攻略のヒントを与えます。

「いきなりあちこち動き回らず、取り敢えずまずは周囲の様子を確認しながら徐々に徐々に進むようにするのが大事だよ」と。

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上から見渡したダンジョンの全体図です。画像左側を入口(南側)として、これを参考に読み進めて下さいね。

小⑤R子さんローグ「じゃ、私が最初なんで、入り口から見て、右(東)側の通路の様子を調べながら進みます。この横T字路の、なんだか床がない(?)ところまで行ってみたい」

DM「あ、伝え忘れていたけど、この秘密のダンジョンの中はひんやりしており、物静かです。魔法の呪文コンティニュアル・フレイムというものを利用したランタンが壁に点々と設置されており、特に光源は必要としませんね」

小⑤R子さんローグ「うん。・・・で、どうするの?」

DM「難易度10の技能〈知覚〉判定を行ってください。通路の様子がどうか、注意深く調べながら進んでるイメージですね」

小⑤R子さんローグ「コロコロ~・・・成功!」

DM「では、特に問題なさそうに感じます。それで、床がないところだけど、そこまで来て下を見ると、約4~5メートルくらいの結構な深さの穴が開いてました」

中①A子さんクレリック「ダンジョン・ミニチュアの部品が付いてないなぁと思ったら、落とし穴みたいなところだったんだ?」

DM「穴の幅はそれなりにあるけど、前なり左なりにジャンプで飛んで、穴を飛び越し、通路の先に行くことは十分可能です」

小⑤R子さんローグ「前の方角、まっすぐ伸びてる通路の先の様子ってどうなってるの?(←通路奥の岩で出来たボールみたいのが気になっているようです)」

DM「では、何かに気が付いたかどうか、難易度15の技能〈知覚〉判定を行ってください」

小⑤R子さんローグ「ダイスをコロコロ~・・・あぁ、失敗⤵」

DM「残念ながら、何もわかりませんね」

小⑤R子さんローグ「しょうがない、ひとまず皆がいる入口に戻ります」

DM「では、そこに戻って、今の出来事を皆に伝える、と」

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通路の手前には“落とし穴”。奥に見えるは“巨大な岩の玉”。絶対に何かある・・・。

ここで手を上げる小②Aさんファイター・メルクル。「次、うちね!」と口にし、やってやるぞ~と同じ通路を選んで進み、穴をジャンプで飛び越え、まっすぐ伸びた通路を進もうとします。

 

DM「では、何かに気が付いたかどうか、難易度15の技能〈知覚〉判定を行ってください」

小②Aさんファイター・メルクル「ダイスをコロコロ~・・・う、失敗⤵」

DM「じゃ、何もわからないね」

小②Aさんファイター・メルクル「しょうがない! ひとまず、もう少しだけ進みます。あのね、一番奥までは行かないから」

 

伊達に今までD&D5版で遊んでない。何か罠があるかも知れない――直観がそう伝えたのでしょう。

しかし、フィギュアを進めて、最後に止めた位置がまずかった。その場所は、ちょうどDMが考えていた罠が発動する位置に含まれている場所だったのです(ひとマス手前だったら発動しなかったのに!)。

 

DM「ああ、残念! 何かスイッチの様なものを踏んだ、カチッ! と言う音がしました。足元を見ると、この辺の床一帯が、その手前の場所と違い、小さな石の様なものが敷き詰められた床になっていたんです。で、どうも、その中のいくつかが罠を作動させるスイッチになっていたようで、気が付かなかったメルクルが1つふんずけてしまい、罠が発動! 通路の奥の巨大な岩石ボールが、まるでミサイルのように君の方へ向かって飛び出し、君は勢いよく突き飛ばされてうしろに吹っ飛び、あの飛び越えた穴に落とされてしまったのです! で、その岩石ボールは、すごい勢いでまた元の場所に戻りました。何度でも作動するみたいです」

一同「あちゃあー!!」

DM「これらの出来事からうまくダメージを受けないよう体を動かしたり、穴の中にうまく着地できたかどうか、難易度15で、能力値の〈敏捷力〉か、技能の〈運動〉か〈軽業〉、好きなもので判定してください」

小②Aさんファイター・メルクル「ダイスをコロコロ~・・・成功!!」

DM「では、ダメージは少なくて済みます。が、穴は深くて、自力ではすぐに出れないよ?」

小②I子さんファイター「大変! 助けようよ!」

小⑤R子さんローグ「うん、助けたい! でも、深い穴なのにどうやって?!」

DM「ヒントとしては、装備欄の、例えばロープとか・・・」

 

中①A子さんクレリックが手を上げます。

 

中①A子さんクレリック「そうか。キャラクターの装備にロープがあるから、これをたらして引きあげればいいんじゃない?」

小⑤R子さんローグ「そうしよう♥」

 

小②Aさんファイター・メルクルは助けてもらった後、「もう一度お願い!」とDMに頼み込んできました。うなずくDM。

ですが、残念ながら2回目も同じく失敗。ダメージを再び負ってしまいます(中①A子さんクレリックの治癒呪文キュア・ウーンズにてHPを回復してもらいました)。

ただ、1回目と違い、通路の奥にある岩石ボールの手前、右手の壁にある狭い通路にレバーの様なものがあるのを目にします。近寄れなかったので正体は不明でしたが。

 

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牢屋のような作りの小部屋には・・・いったい何が・・・?!

中①A子さんクレリック「私の番。入口から見て、左(西)側の通路を進み、横T字路を右に折れて、牢屋みたいな扉があるところに進みます」

 

全員フィギュアをつまんで律儀にトコトコと歩かせながら、移動させます。

 

DM「鉄格子があるね。なんだか牢獄みたいな感じです。中に誰かいるようで、『ん?! 誰・・・誰か来たのか?! 助けてくれ、ここから出してくれ!!』と声がしました」

中①A子さんクレリック「あ、誰かいるみたい?!」

 

DMは手元にあった男性のフィギュアを、鉄格子の裏、小部屋の中に置きました。

 

一同「ああっ! もしかして、お父さんのこと見つけた!?」

 

DM「頑丈な鉄格子の向こう側の小部屋に、見た感じからして、君たちが探していた案内人エハンスと思わしき男性がいました。『あんたら、もしかすると、ファルトの町の人間に頼まれて、俺のことを助けに来てくれた人らかい?! 俺はエハンス、古代遺跡案内所の人間だ!』君たちがドンソン町長と、パーシー少年から頼まれてきたことを告げると、彼はホッと胸を撫で下ろしたのでした」

K子さんファイター「見つかって良かった!」

DM「すると今度は少し怒ったような顔つきになります。『あの、バルトとかいう猫背の男、どうも怪しいと思ったら、案の定、悪だくみを考えている悪の魔法使いだったんだ。俺はだまされて、この遺跡まで案内させられてね。話によると、やつは古い文献を調べているうちに、ここに秘密のダンジョンがあることを知ったそうだ。俺にも、それこそが本当の骸骨神殿なんだよ、と教えてきてね。あんたらも通ってきただろう秘密の扉を教えられて、俺も今まで全然知らなかったから、それはもうビックリしたぜ』」

K子さんファイター「やっぱりバルトは、悪いヤツだったんだ・・・」

DM「案内人エハンスは続けます。『奥の様子を調べたいから手伝って欲しいと頼まれ、手伝っていたら、そのうち本性を現してさ、「一番重要な、奥の間の場所さえわかれば、お前は用済みだ。人質としてそのうち町の人間から金を出させるのにでも利用してやる」って、こんな牢屋に閉じ込めたんだよ!!』」

小②I子さんファイター「牢屋の扉は開けられないの?」

DM「うん。なんだか鍵穴もなく、不可思議な魔法パワーで封じられているみたいに感じます。エハンスは無理なんだ、と首を振りました。『あいつは古い文献と共に、魔法の杖も手に入れたらしい。この骸骨神殿は大昔、この一帯で悪事を働いていた魔道士が隠れ家にしていた場所で、そいつの遺産でもある、魔法の杖を持つ者の言うことを何でも聞くスケルトン兵士や魔神を封じ込めておいた場所らしい。なんでも魔法使いバルトは、その魔法の杖を使ってモンスターを操り、この一帯を支配しようと考えているらしいんだ。・・・俺が閉じ込められているこの部屋の鉄格子も、やつが持っている魔法の杖でしか開かないらしい。あいつの杖があると、このダンジョン内の罠も作動しないし、どの扉も自由に開け閉めできるそうだよ』」

 

DMは、鉄格子の部屋の前、通路の反対側にある両開きの扉を指さします。

 

中①A子さんクレリック「試しに向かい側の扉を開けてみようとします」

DM「鋼鉄製のその扉はビクともしません。それを鉄格子越しに見ていたエハンスが『杖を持たない者は、このダンジョンの東と西にある通路奥のレバーを2本とも操作しなければ、奥の間に行き来できないそうだよ』と情報をくれました」

 

それを聞いて皆さん「さっきのあれか!」と、目がキラリン☆と光ります。

 

DM「『この部屋にある今は空っぽの棺桶も、もとはスケルトン兵士が4体いてね、魔法の杖の力で復活して、あいつの言うことを聞いて外の見張りに行ったくらいだし、あいつが言っていることはすべて本当のようなんだ』」

K子さんファイター「4体って、山道にいたあいつらね」

DM「『なぁ、あんたら、やつを放っておいたらファルトの町どころかこの一帯が大変なことになっちまう。バルトをやっつけてくれよ! 俺のことも、早くここから出してくれないか・・・?!』」

 

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一本道の何もない通路。その奥まった壁にはレバー。怪しさ大爆発じゃ。

小②I子さんファイター「今度はI子ちゃんの番だから、左(西)の一本道通路を見ます」

DM「先ほどの右(東)側と異なり、何もない道が少し続いていて、一番奥の壁にレバーのようなものが見えました」

小⑤R子さんローグ「あ、そちらに行くなら、私は岩石ボールがある右(東)側の通路に行って挑戦するよ!」

 

DMは、罠発見と、罠に引っかからないように進めたかどうかの判定を、それぞれに求めます(注:左側の通路には、スイッチを踏むと、無数にある床の穴から槍が突き出してきてダメージを負わす罠が設置されていました)。

小⑤R子さんと中①A子さんは「そのうちのどれかで判定っていう場合、言われたリストの中の一番高い修正値のやつでダイス振る方が得だよね?」という感じで、ルールを徐々に把握してきているようで、相談しながら挑戦してきました。

結果、小②I子さんファイターと小⑤R子さんローグの2人はダイスの目の良さも手伝い、一発で成功。

下げられたレバーのおかげで仕掛けが働き、奥の間に続く扉を開くことに成功したのです。

 

一同「イェーイ!! やったね!!」

 

――皆さん、前半の「ストーリーの流れを作り出していく展開」と異なり、ダンジョン内の様々な仕掛けや罠の解明、捕らわれている人物を救い出す方法を見つけなくてはならないと言う、「謎解きっぽいこの展開」に、同じゲームなのに雰囲気が異なる遊び方になってきたぞ・・・と感じられているようでした。一人一人が何度もマスタースクリーンの陰にいる僕の目を見たり、僕の手元の様子を窺っては情報を引き出そうと試みていたのです。

立ち上がってさりげなくマスタースクリーン裏の様子を見た小②I子さんや他の人が、「そっか、前もってこのお話のことを紙に書いておいて、それ読み上げたり、自分でもどうなってるか確認しながら進めてるんだ?」と聞いてきます。「その通り!」僕は頷きました。

皆さん、プレイヤーをして遊ぶだけでなく、“DM(ゲームマスター)は一体何をしているのか?”と言うことにも興味を示し、TRPGという遊びがどうやって成り立っているのかについてちゃんと意識し始めてくれたのです。

物事の本質をちゃんと見抜こうとしている面々に、またまた僕は驚きを隠せませんでした。すごいなぁ~・・・。

 

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ついに、一番奥の間への扉が開かれたのであった・・・

■シーン5:骸骨神殿の支配者

下の画像にもある(偶然に写った)参加者さんのデジタル腕時計が示している通り、この時点でちょうどお昼になりました。

 

DM「ここが最後の戦いになるんだけどね、きりがいいし、ひとまずお昼ご飯食べてから続きをやらない?」

一同「エェーッ!? やーだぁー! ダーメェー! 今めっちゃいいところなんだしー、終わってからにしようよー!!」

DM「・・・。あ、ああ・・・そうですか。そうですね。皆さんがそうおっしゃられるならそうしましょうかね・・・」

一同「でも、もうこんなに時間が過ぎてるなんて思わなかった。面白くて、つい♪」

 

さて、皆さん、やはり自分のフィギュアをそれぞれきちんと動かし、奥の間へ続く通路へと移動させます。そして・・・。

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このプレイヤー側の演出、僕は初めて見て感動に打ち震えました。

一同「いっ・せーの、せッ!!」

 

そして次に、全員で掛け声を出して、奥の間へと全員同時にフィギュアを移動、部屋の入り口付近に再配置したのでした。

DMはそれを見届けてから、ネタバレ防止にわざと配置していなかった、魔法使いバルト、魔神像のフィギュアを部屋の奥に置きます。

 

小②I子さんファイター「緑色の服着て、魔法の杖みたいの持ってる人がいる!? きっとあれが悪い魔法使いだよ!! お父さん助けるのに、あの杖を手に入れなくっちゃ!!」

K子さんファイター「う~、入口のと同じ魔神像がある。怖い顔してるんだけど」

中①A子さんクレリック「棺桶もあるし、あそこも怪しい」

小⑤R子さんローグ「やっつけよう♥」

 

DM「君たちは一番奥の大広間へと進み出ました。ここはまさしく神殿の重要部分という雰囲気で、たくさんの柱、たくさんの不気味な彫刻が施された壁などで構成されています。一番奥に、人の2倍の大きさはあるかと思われる魔神を模した像、出入り口にあったのと同じもの――こちらの方が風化しておらず形状がちゃんとしている――があり、そのそばに猫背で、緑色のローブを身にまとった、いかにも魔法使いという姿の男が立っていたのでした。そいつが言います。『大方、ファルトの町の町長辺りに頼まれ、あの案内人を探したり、おかしな様子のこの俺を退治して来いと言われてきた、やとわれ冒険者だな。そろそろお前らのような奴らが来るだろうとは思っていたよ。俺は偶然手に入れたこの魔法の杖で、この骸骨神殿の新しい支配者となり、配下のスケルトン兵士と、この魔神ゴーレムでこの一帯を支配するのだ。誰にも邪魔はさせんぞ!』悪の魔法使いバルトはそう叫ぶと、魔法の杖をひと振りします」

 

一同「(ごくり)」

 

DM「すると、魔法の杖が輝き、柱そばの棺桶のふたが開いてスケルトン兵士が2体飛び出しました。同時にまた彼の傍らにある魔神像が大きな音を立てて動き出します。出入口にあったのとそっくりの石像でしたが、立ち上がると同時に全身の岩が崩れ、中から巨大で恐ろしいスケルトン・ゴーレムが出現したのでした! これが、最後の戦いですッ!!」

 

DMは2体のスケルトンを配置。そして先ほど置いた石像フィギュアを取り上げて、同じ位置に巨大スケルトンのフィギュアを置き直しました。

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意表を突く、もうひと捻りの演出が場を更に盛り上げます。これが最後の戦いだッ!

一同「キャーッ、なにあれーッ!! 超こわっ!! やばすぎない?!」

 

みたび大興奮状態に陥る女性陣。

落ち着いたころを見計らって、DMはイニシアチブ判定を宣言。敵味方全員して行動順を決定しました。

ダンジョン・ミニチュアの置いてある位置の関係からマイフィギュアに手が届かないとか、せっかくだから高い位置から見て最後のシーンを確認しながら進めたくなったとか、なんだか興奮してきて居ても立ってもいられなくなってしまったとか、皆さん理由はそれぞれなんでしょうが、全員して立ち上がり戦闘を始めます。

「それ!」「とりゃ!」「えいっ!」「おぅ!」と、掛け声を出しながらダイスも転がしていきます。

 

最初の戦闘ラウンド。

小⑤R子さんローグは、出入り口付近からクロスボウによる射撃を魔法使いバルトに行います。成功してダメージ!

小②I子さんファイターと小②Aさんファイター・メルクルは、両サイドに陣取るスケルトン兵士2体へとそれぞれ移動して攻撃。これまた成功してダメージを与えます。

K子さんファイターは、スケルトン・ゴーレムへと2倍移動して接敵、終了。

一番後方にいた中①A子さんクレリックは部屋の中央まで移動して終了。

 

各スケルトン兵士の攻撃は失敗。

ケルトン・ゴーレムは、目の前に来たK子さんファイターに攻撃を繰り出します。

 

DM「巨大なスケルトン・ゴーレムは大きな剣による2回攻撃を繰り出してきます」

K子さんファイター「2回も!?」

 

そのDMの攻撃ロールの結果は・・・ああ、これまた無常。2回とも剣による攻撃が成功し、しかもなんということでしょうか、片方はクリティカル・ヒットとなってしまったのです。

サイコロ判定なだけに、あくまでも偶然なのですが、かなりの大きさのダメージがK子さんファイターに行くことになってしまったのでした。

 

K子さんファイター「もうダメだ、死んだ・・・」

一同「ゲッ、マジ?!」

 

驚く一同でしたが、K子さんの周りのプレイヤーが彼女のキャラクターシートを再確認。

計算違いで、まだ生きていたのでした。

 

一同「ホッ、良かったぁ~♪」

K子さんファイター「計算違い、ごめんねぇ。でも、HP少なくて、もう瀕死だよ。DM、これ、このマスから逃げ出すってこと出来ないんですか?」

DM「できます。アクションを使って離脱というのを行います。K子さん、このラウンドの自分のターンで2倍移動してもう終了しているから、次のラウンドの自分のターンでそれを行ってね」

K子さんファイター「わかりました」

 

最後は、魔法使いバルトの番。彼は攻撃魔法ファイアー・ボルトを使おうとしますが、遠隔呪文攻撃判定に失敗してしまいました。

 

第2ラウンド目。

小⑤R子さんローグは、小②Aさんファイター・メルクルが相手してるスケルトン兵士に対してクロスボウによる射撃を行い、倒します(←全員拍手~♪)。

目の前の敵がいなくなったことから、小②Aさんファイター・メルクルは移動して、スケルトン・ゴーレムへと攻撃を当てました。

小②I子さんファイターは、残る1体のスケルトン兵士に攻撃するも外れ。

K子さんファイターは、HPが超残り少ないことからも戦線を離脱して後方へと逃れます。

中①A子さんクレリックはそれを見て、スケルトン・ゴーレムの真ん前、K子さんファイターがいなくなった位置に移動、範囲攻撃呪文バーニング・ハンズを行うことにしました。

 

中①A子さんクレリック「DMに貸してもらったこの呪文の範囲を決める針金の枠に収まるすべての敵に、この攻撃呪文がいくんでしょう?」

DM「はい、その通りです」

中①A子さんクレリック「じゃ、魔法使いバルトと、スケルトン・ゴーレムが範囲に収まるので、魔法攻撃します!」

 

この呪文は相手が回避できたかどうかの判定をするものなのですが、相手はどちらも判定に失敗。ダメージを受けることになります。

ケルトン・ゴーレムはまだHPが残っているものの、もとからHPがそれほどない魔法使いバルトは先にダメージを受けていたこともあり、HPもちょうど0。たまらず絶叫を上げながらその場に崩れ落ちたのでした。

 

一同「やった~ッ!! 魔法使いやっつけたよ~ッ!!」(←拍手喝采、場が大いに盛り上がります♪)。

 

中①A子さんクレリック「スケルトン・ゴーレムは、まだ死なないんですか?」

DM「はい、まだだね。かなり弱っては来ていますが」

中①A子さんクレリック「残りHPはいくつ? 1ポイントとかですか?」(←DMの隣にスーッとさりげなく寄って来て、マスタースクリーンの中を覗き込みます)。

DM「あ・・・と、それはね、ゲームとしては秘密で、DMはプレイヤーには教えてはいけないルールになっているんですよ。わからない状況で戦った方が、ハラハラドキドキして面白いでしょ?!」

中①A子さんクレリック「ん~、そうなんですかぁ」

 

ケルトン・ゴーレムのターン。今度は攻撃が完全に空振り、失敗に終わります。

 

そして、第3ラウンド目。

小⑤R子さんローグは、クロスボウ攻撃をスケルトン・ゴーレムへ。成功し、ダメージ!

小②I子さんファイターは、目の前のスケルトン兵士に攻撃を当てて、ようやく倒します(←全員拍手~♪)。

 

小②Aさんファイター・メルクル「よぉ~し! ・・・えいッ!」

 

順番が回ってきた小②Aさんファイター・メルクルがダイスを振ると、見事に命中!!! ダメージも大きな目が出て、スケルトン・ゴーレムは力を失い、ガラガラとその場に崩れ去ったのでした(←本領発揮、面目躍如、四文字熟語♪)。

 

一同「やったー!! バンザーイ!! バンザーイ!!」(←全員で超大拍手♪♪♪)。

 

DM「おめでとう! 君たちは見事、悪の魔法使いバルトの野望を打ち砕きました。魔法の杖を手に、牢屋の扉を開けます。行方不明だった町の案内人エハンスを町に送り届け、無事に今回の冒険を終えたのでした。ドンソン町長に事情を聞かせられ知っていた町の人々とパーシー少年から感謝され、君たちはこの町で数日にわたり歓迎されます。そして、また新しい冒険を求めて旅立ったのでした。ーー今回は、これで、お・し・ま・い!」

 

満面の笑みの中、皆さん「楽しかった! 面白かった!」という言葉と共に、いつまでもいつまでも拍手を続けていました。

 

 

■今回のおわりに

皆さん、最初に僕から受けたD&D(TRPG)の説明に、ボンヤリと「多分このD&D(TRPG)って言うのは○○みたいな感じなんだろう・・・」と各々想像を膨らませていたようですが、実際にプレイしてみると、その想像を遥かに飛び越えた、今までに遊んだことのない面白いものとして、D&D(TRPG)は映ったそうです。

勿論、大前提として「興味を持ってくださっていた」「ノリが良い方達が揃っていた」と言う事実はあるのですが、TRPGやTVゲームの方のRPGを知らなくても、楽しもうという気持ちがありさえすれば、未経験者でも初心者でも楽しめるゲームであるようです、このTRPGと言うモノは。一緒にプレイしていて、僕自身、すごく勉強になりました。

 

「今度遊ぶ時も同じキャラクターにしたい!」

「他のキャラクターもやってみたい!」

そういういう意見が聞こえてきたことから、「自分のオリジナルキャラクターを作れるんだよ。今後も遊ぶとしたら、マイキャラを作ってやりましょう!」と伝えると、「え?! そうなんですか!? うん、作ってみたい!!」と、更なる興味がこのゲームに湧いて来たようで、皆さん目を輝かせてくれたものです。

 

今回のセッション、このような感じで、大成功で終えることが出来ました。

良かった、良かった。

 

~ひとまず、お・わ・り~

 

 

■おまけ

セッションの流れを見て、わざわざ出さず今回は無しにした方が良いだろうと判断、なかったことにした罠の1つです。

ダンジョンの南側半分の通路にてあまりにもウロウロし過ぎていると、ここからストルトン兵士が飛び出してきて、冒険者達に不意討ち攻撃を仕掛ける予定でした。

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この部屋のスケルトン兵士さん達は今回、役目を忘れて寝過ごして、そのまま永遠に眠り続けました、とさ♪