いわきD&D同好会のブログ

福島県いわき市で活動しているTRPGサークル“いわきD&D同好会”の紹介ブログです。〈ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)5版〉と〈新クトゥルフ神話TRPG〉をプレイしています

番外編レポ2 小②とクラゲのフラッピーと魔法のバラ神殿〈後編〉

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レポ文章内ではカットしましたが、プレイ中「MAPから隠れミッキーを探せ!クエスト」と言うのも実施されました。あなたは見つけられますか?

いつもの様に通常のプレイで進むと思われていた今回のシナリオ。しかし、用意されていたシナリオに、まったく想定されていなかった小②PYの要望――しかもシナリオの根幹に深く食い込むもの――を取り入れたアドリブ展開が欲求され始めたのである。

DMは無事、今回のシナリオをまとめ上げ、終えることが出来るのであろうか?!

TRPG界隈でもトップクラスレベルに該当する超困難ミッションが、今まさに繰り広げられようとしていたのであった・・・。今回のレポは、その完結編である――!!

 

と言うわけで、〈前編〉からストーリーがそのまま続く〈後編〉の始まりで~す(←軽い)。

 

第4章 トリエントの脅威から逃げきれ!

DM「・・・(展開に“フランフのフラッピー”を組み込むシナリオ修正案を必死に脳内において行っています)」

小②PY「ん~、どうしたのかな~?」

DM「・・・なう、ろーでぃんぐちゅうです・・・」

小②PY「あ、ちょっとトイレ行ってくるから待っててね!」

DM「あ、はい」

 

DMは、この神が与えたもうた僅かな時間のうちに、あれこれと考えました。

ひとまず終盤の修正は後回しにすることにし、次の展開の修正案を先に導き出します。

 

小②PY「失礼しました。いま戻りました♪」

DM「あ、はい。では、続きをやりましょう」

小②PY「ワクワク。D&Dの続き、どうなるか楽しみぃ~♥」

DM「フランフのフラッピーは生来の能力としてテレパシーを持っています。直接、口でお話は出来ませんが、心と心のつながり、超能力でお互いの考えを伝え合うことが出来ます。フランフはそのテレパシー能力で、君の心に話しかけてきました。『メルクル、君が探しているメアリーは今、丘を越えようとしているところで、向こう側にあるエルフの“魔法のバラ神殿”に向かっているよ。勝手に持ち出してしまった魔法のバラを、悪いことをしてしまった、ゴメンナサイと、返しに行こうとしてるんだ。あの子の、両親や森に謝罪する強い心模様がボクのテレパシーで読み取れた。でもね、魔法の加護が弱まっている今、森は勿論、神殿にもモンスターが出没している。このままじゃ、メアリーが危ないよ!!』」

小②PY「やっぱりね! 早く追い駆けなきゃ!」

フラッピー(DM)「今から君が行くこの先には、大きな危険が待ち受けている。正気を失ったトリエントが、丘の周囲をウロウロしているんだ。勇敢な君でも、彼を相手にするにはまだまだ力不足だ。まともに戦いを挑んだら、あの怖ろしい力でアッという間に叩き伏されてしまうことだろう。だから、うまく森の地形を利用して、隠れながら先に進むんだ」

小②PY「『トリエントってなんなの?』とフラッピーに聞きます」

DM「(超大型サイズフィギュアを取り出して見せつつ→)こういう樹木モンスターだね。森の守り神みたいなやつかな。今はエルフの加護が解けてしまっているし、昔から森の平和を望んでいたトリエント自身も大切に思っていたもの――バラの置物を探し取り戻そうと怒り狂っている感じなんです(←と、説明してからおもむろに配置)」

小②PY「デカッ?! これは、マジでヤヴァイ?! 殴られたら一発でやられちゃうね~。うまく逃げながら、神殿に向かおう。どうするの?」

DM「あ、じゃ、君が行動に移る前にフラッピーは、『神殿が気がかりだし、ボクは先に戻るね。メルクル、うまく神殿まで来てね。君が来るのを待っているよ!!』と言い残して、空を飛んで行ってしまいました(←と説明してから、フラッピーのフィギュアをぴゅーんと飛んでいくように持ち上げて退場させる)」

小②PY「『ありがとう、フラッピー♪』」

DM「(←フラッピー一時退場にホッと胸をなで下ろす)」

 

DMは小②PYにトリエントの脅威を回避しながら先に進む方法を説明します(注:以下、小学生にも分かりやすく公平性があるような、それでいてハラハラするようなオリジナル・ルールにしてみました)。

 (1)最初にコースを決めます。全部で3つあります。トリエントがいる右側にあえて挑むコース(意外に足元はそれほど注意しないで歩いているらしいと感じる)、丘の上やすぐ脇を通り抜ける中央コース(地形に凹凸がたくさんあるので隠れやすいと感じる)、トリエントから見て丘の反対側コース(最も安全そうだが、意外にトリエントの高さから視線に入りそうに感じる)。

 (2)隠れながら進む距離は全部で4分割されており、分割された長さを一ヵ所進むごとに難易度15の〈敏捷力〉判定に成功する必要がある(ちなみに分割ごとに通常の移動力6マスしか動けない)。成功したなら、そのままその箇所は進める。失敗したなら、トリエントが難易度15の〈判断力〉判定。トリエントが失敗したならメルクルはギリギリ見つからずに済むが、成功したならトリエントはメルクルの気配を察知し、2倍移動で彼女がいる方角へと向かってくる(但し、道筋はランダムに決める)。捕まらずに先に神殿にたどり着けば、トリエントはメルクルを完全に見失う。もし捕まれば・・・。

 

小②PY「了解! うー、なんか怖いね。ドキドキ。コースは、やっぱり一番離れている、トリエントから見て丘の反対側コースにする! じゃ、進み始めます!!」

DM「分割の最初の距離、どうぞ」

小②PY「ドキドキ・・・コロコロ~、おっ、成功!(メルクルのフィギュアを進める)」

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巨大な人型樹木クリーチャー・トリエントの脅威が迫ります!

DM「分割のふたつ目の距離、どうぞ」

小②PY「ドキドキ・・・コロコロ~、あっ、失敗しちゃった!!(目を大きく見開く小②PY)」

DM「きっと来る~♪ きっと来る~♪ トリエントが気が付いたかの判定ですぞ・・・コロコロ~、あっ、失敗だ!!(目を大きく見開くDM)」

小②PY「やっべぇ~。隠れながら、どんどん進むよ!」

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きっと来る~♪ きっと来る~♪

DM「分割のみっつ目の距離、どうぞ」

小②PY「ドキドキ・・・コロコロ~、あっ、ガーン、また失敗しちゃった!!(もっと目を大きく見開く小②PY)」

DM「きっと来る~♪ きっと来る~♪ ふふふ、トリエントが気が付いたかの判定ですぞ」

小②PY「ちょっと待って、私にもちゃんと見えるように振ってよ!」

DM「オープンダイスで振ってるじゃないか。よぉっし、じゃ、ちゃんと見ててください・・・コロコロ~、あっ、失敗だ!!(もっと目を大きく見開くDM)」

小②PY「(´▽`;) ホッ。うまーく隠れながら、どんどん進むね!!」

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悪い子はいねぇがぁ~!

DM「分割のよっつ目、ラストの距離、どうぞ」

小②PY「ドキドキ・・・コロコロ~、あっ、これは! ラッキー、クリティカルだ!」

DM「な、ナントΣ(・ω・ノ)ノ! 重要どころでウソみたいに本当に出すね・・・」

小②PY「(*^^)vブイ」

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何かいたように思えたが、“気”のせいか・・・?(←“木”だけに)

こうしてメルクルは無事、トリエントを撒いて、魔法のバラ神殿の手前まで進んだのでした。

 

第5章 神殿に入れない?! メアリーをどう救えばいいんだ?!

DM「さて、メルクルが神殿の目と鼻の先ほどに来た時のことです。神殿の巨大な石作りの扉が中央で少しだけ開いているのが見え、その隙間にちょうどおさげの少女メアリーが入り込んだのが見えました(←と説明しつつ、メアリーのフィギュアをトコトコと動かして神殿内部に移動させる)」

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おさげの少女メアリーにやっと追いついたと思ったら・・・!?

小②PY「急いで追い駆け、入口まで行きます!」

DM「はい、君が駆けつけたのと、中から少女の叫び声が聞こえてきたのが同時でした」

小②PY「え?! 何が起きたの?! 中はどうなってる?!」

DM「石造りの巨大な扉の隙間から覗き込むと、神殿の中は光源がなくて薄暗く、今君がいる扉の隙間から差し込んでいる外の光り――と言っても曇っているからさほど頼りにならないのだけど――その差し込む光でなんとなくだけ様子が見て取れました。広い神殿ホールの中央、エルフ像の手前辺りにメアリーがいてね、彼女の周囲にそれは気味悪いほどのたくさんのコウモリ、どうやらエルフの加護が薄れ、邪悪に変貌したらしい目が血走ったモンスター・コウモリの群れが羽ばたき、襲いかかろうとしていたのです」

メアリー(DM)「キャー、怖いー、誰か助けてーッ!!」

小②PY「メアリーを助けるのに、中に入ります!」

DM「それがね、石作りの巨大な扉のその隙間が、子供が入れるくらいしかなくて、大人のメルクルでは入り込めないんだよ」

小②PY「うわぁ、ヤヴァイじゃない、どうしよう?!?!?!」

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助けたいのに中に入り込めない!? どうすればいい?!

DM「どうする、メルクル? パッと見た感じ、他に出入口や窓はなさそうだよ(ここでちょっと一呼吸置いて、「重いその扉を〈筋力〉判定に成功させれば云々」と伝えようとした矢先のこと)」

 

小②PY「ちょっと待って! “フランフのフラッピー”がいるよね、神殿の中に!」

 

DM「(ドキッ!!)・・・えッ?! ・・・あ・・・はい。そうだった、フラッピーね、ああ、そうだね、心配で先に神殿に行ったんだったよね。中に・・・いるね・・・うん(滝汗)」

小②PY「テレパシーで話しかけます『フラッピー、中にいるんでしょう?!』」

フラッピー(DM)「うん、ここにいるよ、メルクル。メアリーが大変だよ!!」

小②PY「『協力して!』」

フラッピー(DM)「ボ、ボクはこんなにたくさんのモンスターを相手にするなんてできないよ~?!」

小②PY「『違う! 大丈夫、戦うんじゃないよ! メアリーを取り囲んでいるコウモリの周りを飛び回りながら光り輝いて! フラッピーは光れるでしょう! コウモリは光が嫌いだから、逃げようとして、この扉の隙間から外に飛び出してくるよ! そしたら私がコウモリをやっつける!! 勇気を出して、フラッピー! 君ならできるから!」

 

DM「!?」

 

色んな意味で完全に予想外かつ想定外でした。自分の協力者として途中に出していたフラッピーを再登場させてこのシーンに絡ませ、それだけでなくガチャポン玩具のLEDで光る特性を、コウモリを追い払う為の手段として思い付くという、実にうまくフラッピーの存在(オモチャ)をストーリー展開に直結させるという捻りの利いた作戦に出てきたのです。

小②PYのこのアイディアに、ビリビリと僕の脳髄に衝撃が走り、「こりゃ一本取られたぞ!」となりました。

これはもう、小②PYの意見を採用しない訳には行かないでしょう。

 

DM「はい、了解です! フランフのフラッピーは君の言葉を聞いて勇気づけられ、コウモリの群れの周りを激しく光り輝きながら飛び回りました。君の計画通り、コウモリの・・・そうだなぁ~、じゃ、半数が驚いたことにしましょう、待ち受けるメルクルの方に飛び出してきます」

小②PY「よし、やっつけます!!」

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機転を利かせたそのアイディア戦術にDMはただただ脱帽。

扉の隙間から外に出てきたスウォーム・オヴ・バッツ。

扉の手前でのその戦闘についてですが、お互いにHPを削り合うような激しいやり取りが行われたものの、メルクルがどうにかこうにか勝利しました(←あまりに単調なやり取りなので詳細はカット)。

 

小②PY「中に、まだ半分いるね。状況はどうなってるの?!」

DM「光り輝くフラッピーが協力してくれていることもあり、コウモリはメアリーにそれほど危害を加えられずに、二人の周囲を飛び回っているだけだよ。メアリーは恐怖のあまり、頭を押さえてうずくまっていますね。ただね、フラッピーの激しく光り輝く力も、そろそろ限界かな。彼の魔法のパワーが切れかかっているようです」

小②PY「何とかしなきゃ!? 何とかできない?!」

DM「(この辺で元のシナリオ予定ラインに持って行ってもいいかなと思い→)では、メルクルはもう一度扉を見て考えます。何とか力を振り絞り、無理やりにでも、もう少しだけ開けられれば、大人のメルクルでも入り込めるはずだ、と。難易度15の〈筋力〉判定をして下さい」

小②PY「わっかりました! コロコロ~・・・はい、成功です!!」

DM「すごく出目が良いね。では、君は怪力を出して、ムリヤリ扉をもう少しだけ開き、なんとか中に飛び込みます」

小②PY「メアリーのそばまで走り寄って彼女を守りつつ、コウモリをやっつけます!」

メルクルは先の戦闘でだいぶHPが減っていので、救助策として、フラッピーがキュア・ウーンズの呪文が唱えられる設定にし、最初にHPを回復してくれたことにしました(完全回復には至らなかったが)。

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メルクルの正義の刃が悪を一刀両断にする!(要するに恒例のクリティカル連発(^▽^;))

で、ですね、残りのスウォーム・オヴ・バッツですが、小②PYのキレッキレのクリティカル攻撃が数回炸裂して(←マジ)、あっけなく倒されてしまったのでした。

Ω\ζ°)チーン

 

エピローグ

DM「メルクルは、メアリーがケガをしていないことを確認します。メアリーがポシェットにしまい込んでいた魔法のバラの置物を取り出すと、それが魔法の輝きを放ち、神殿内がほのかに照らされ、全体が見えました」

小②PY「おお、すごい」

DM「神殿内は古さを感じるけど、すごく清らかな感じで、いたるところに木々や花々と言った大自然を模した美しいレリーフがなされています。メアリーの案内で、君は神殿ホールの奥まったところにある綺麗な水がわき出ている噴水のところまで来ました。噴水の中央には花瓶の形をした台座があります」

小②PY「じゃ、メアリーとメルクルは一緒にその花瓶に、魔法のバラの置物をさして元に戻します」

DM「すると、大きな扉の向こうの景色がみるみる変わり始め、空は晴れ渡り、怪しげな雰囲気は微塵もなくなりました。かつてエルフが残していった魔法の加護が、再び効力を発揮し始めたのです。メアリーは言います。『今回はごめんなさい、まさかこんなことになるなんて思わなかったの。1年に1回、神殿の入り口を守る力が弱まり、扉が中途半端に開くこと、ママやパパに聞いてて知っていたの。だから、今回こそ、こっそり忍び込んで中を見たいって考えたんだ。それで、中に入ったら、このバラがあまりに綺麗で、それでつい・・・。もうしません』。話が終わり、目的を達したふたりはメアリーのお父さんとお母さんがいる小屋に戻ったのでした」

小②PY「やった~♪ パチパチパチパチ~♪(満面の笑みを見せ、拍手する小②PY)」

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メルクルとフラッピーの活躍により、森の平和は取り戻されたのです。

DM「こうしてメルクルは、森の一家のピンチを無事に救ったのでありました。君の周囲を、“フランフのフラッピー”も、『森を元に戻してくれて、本当にありがとう、ありがとう♪』と、何度も飛び回っていました。――今回のお話は、これで、お・し・ま・い!」

 

最後に

小②PYも、だいぶ“TRPGのノリ”が掴めてきているようです。今回のそのノリの中には、“自分自身の要望をストーリーに絡ませる為の何か(理由)を思い付く行為”も含まれていました。内容どうあれ、これには積極的にゲームに参加するという姿勢があるからこそでしょうし、こんな風に自ら進んで楽しもうという精神があることは、とても素晴らしいと感じた次第です。

DMと言う立場からしたら、ビックリ、ハラハラの部分もありましたが、逆に言えばこういうプレイヤーサイドからの発案こそが予定調和になりがちなシナリオ展開に意外な花を添えたり、「DMとしても、どのように調理するかと言う意味でゲームを楽しむこと」につながるのではないでしょうか? まぁ、プレイヤーサイドからのその想定外のアイディア発言にも程度の差はあるでしょうが、この辺も思考ゲームの面を持つTRPGの醍醐味でもあるんだよなぁ、と再実感したものです(さすがにあまりにも無茶苦茶で、それは採用できないよ、と言う要望もあるでしょうが)。

さて、小②PYと話し合い、“フランフのフラッピー”はメルクルについて一緒に旅に出ることにしました。平和でたいくつな神殿に長~くいた彼です、刺激のある外の世界にも飛び出したくなったのでしょう。エルフの“魔法のバラ神殿”は、森の一家が守り続けてくれるはずだし、後のことは一家に任せたのだった、と言うことにしました。

そのうちまた機会を設けて、今度はメルクル一人旅ではなく、メルクルと友人フラッピーの二人旅の続きを行いたいと思います。

では、今回はこの辺にて。お疲れ様でした。

 

【おまけ】

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その1.今回のシナリオMAP全体図。

 

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その2.プレイ中、神殿に入れないメルクルを見かねて「ここ開かないの?クルクルやって開けるんだよ?」(←親切なオジャママン2号登場)

 

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その3.シナリオ終了後。小②PY「こんな風に、これぐらいモンスターをジャーンて置いてさ」DM「それは却下します」小②PY「ちが、そういうんじゃなくってぇ~」